子供の時間。
子供たちにとっての自分の時間。
「今」が永遠に続くかのように感じられるくらい退屈な時間。
あるいは瞬き一つで全てが変わってしまいそうな瞬間の連鎖。
従属的な世界を逃れ、遊びや眠りの中で自分を自分として所有できるひととき、彼らは世界を模倣し「経験」を自分のものとする。
見たものを復唱し、感じたことを反芻する。
自由な発想と覚えたての理性と僅かな狂気で、彼らは世界を再構築してゆく。
アイスクリームとドーナッツはシチュー鍋で煮込まれ、オモチャの剣は光輝きながら全てのものを切り裂いてゆく。
デタラメで歪んだように見えるその世界は、現実（リアル）と幻想（ファンタジー）の間の子宮的空間であり、子供が子供でいられる時間である。

□小西淳也