作家コメント:
本展“place”では<見る>ことにおける日常的実践をコンセプトに、ヨーロッパを中心に 写真やインスタレーション作品を制作してきた良知暁(ラチアキラ)の作品を紹介します。本展において、良知は07年にベルリンにて行われた個展“gravity”で用いられた32の写真を再構成することで全く異なる空間の創出を試みました。
15枚からなるシリーズ i.v.o は本展に先立ち、本ギャラリー内に再配置した31の写真群を撮影した作品である。1枚の写真の意味は組み合わされた他の写真や、写真を見るものの経験、想像力といったものを駆使して一時的に経験される。写真集とは異なり、空間の中で写真を見るとき、その立ち位置によって見える写真の組み合わせは多様化し、それゆえに展示空間それ自体が写真群の配置に影響を与える潜在性を持っている。事実、i.v.o に写るレイアウトはベルリンの展示のそれとは異なっている。
ギャラリー内正面の壁に展示された wired(f) はベルリンでは2m弱の印画紙に1mを越える大きさでプリントされたwired の一部が切り取られたイメージによる作品である。wired のイメージそれ自体は本展のDMにも使用され、観客がwired(f) を基にギャラリーの壁にwired 全体のイメージを想像することを可能にする。wired(f) が wired の切り取られた一部であるということを意識的に示すことによってDM等に使われたwired それ自体も写真家によって切り取られたイメージであるということを示唆している。
i.v.o とwired(f) は共通してフレーミングという境界線へのアプローチを試みる。積極的にフレームの内側と外側を想像力を働かせて行き来すること、また境界線それ自体をずらしていくこと、それによって1枚の写真における1つの意味という強要から逃れ、複数の意味を創出することができるだろう。place ではそうした<見る>ことにおける実践を1枚の写真から写真群、さらにはマット、フレーム、展示空間、DMという様々なメディアを用いて試みている。
□良知 暁(ラチアキラ)
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1980年静岡生まれ。社会学を学んだ後、ボーンマス美術大学で現代美術と写真を学ぶ。英国写真家協会学生コンペに入選、在学中より英国内外で写真、インスタレーションを発表する。07年エストニアでの制作滞在などを経て帰国。08年には gallery 176で行われた2人展 replaceを企画する。 |
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website : www.rachiakira.com |
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個展 |
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2007 |
gravity , neunplus gallery(ベルリン、ドイツ)助成:国際交流基金 |
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グループ展 |
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2007 |
nexus, La Viande(ロンドン、イギリス) |
2007 |
Degree exhibition, text and works gallery(プール、イギリス) |
2006 |
New Visions of Japanese Photography, 雅巣画廊(上海、中国) |
2005 |
AOP Student Award 2005, AOP Gallery(ロンドン、イギリス) |
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