展覧会案内 >> 内野雅文 photo works 1996-2006

「車窓から」

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□会期:2006年5月12日(金)〜5月23日(火) *水曜・木曜休廊
□時間:
12:00〜18:00(最終日17:00まで)

 

 幼稚園に通っていた幼い子供の頃、何時間電車に乗っても飽きなかった。
電車に乗るときは小さなリュックサックに水筒とお菓子を入れ、靴を脱ぎ座席とは逆向きに座りホッペタを窓にくっつけながら、ただただ車窓から見える外の光景を眺めていた。 電車が鉄橋を渡る時のガタゴトガタゴトという音、踏み切りで待っている人が窓から外を見ている私に気づき手を振ってくれた時は心を弾ませた。

 春、まだ色付かない近所の桜の木を眺めていた。
毎晩毎晩の天気予報。桜の開花予報や桜前線の様子にそわそわしていた。
もう待ちきれない。
私は桜を求めて西へ向かった。

 夏、小学生の頃、夏休みが始まるとイトコ家族が集まって3泊4日の海水浴を毎年いっていた。車窓からは、だんだんと家の数も少なくなり青々した田んぼの稲が見えはじめるといつも行っていた海岸だ。イトコみんなでワイワイ、ガヤガヤ乗る列車はいつもと違って楽しかった。そんな事を思い出しながら、あの海水浴場へ独り向かう。

 秋、あまり人の乗っていないローカル線に乗ってきた。
庭先に実る柿。黄色や朱色に紅葉した山々。
電車から列車、列車からローカル線
秒から分、分から時間・・・。
ローカル線は、ときを緩やかにさせてくれる。

 冬、急に鉛色の空と海を見たくなり日本海へ向かう。
東京生まれの私にとって一面雪に覆われた光景は特別なものだ。
雪景色は山や田畑、屋根までも真っ白に包み込み白からグレー、黒への墨絵の世界にする。
眠たくなるような温かい車内で曇ったガラスを拭きながら外の寒さを感じる。

 旅は人の気持ちをたかぶらせる。
 車窓は次から次へと映し出される映画のスクリーン・・・。
 日本にはいろんな顔を持つ四季がある。
 ひとときの駆け巡る季節を惜しむように眸に焼きつける。

 

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2006年6月25日
更新
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