展覧会概要

タイトル:「はたらくことは 生きること—昭和30年前後の高知」写真集出版記念写真展

作家名:石田 榮

会期

2016年11月6日(日)〜11月23日(水・祝)

休廊日

11月9日(水)、10日(木)、16日(水)、17日(木)

開廊時間

平日 13:00〜19:00、土曜 11:00〜19:00、日曜祝日 11:00〜17:00

企画

gallery 176

協力

宮崎 豊(ニッコールクラブキャッスル大阪支部長)、長尾敦子(アートディレクター/Book Photo PRESS)、羽鳥書店

プリント

フォトグラファーズ・ラボラトリー プリンター 斎藤寿雄

内容

 アマチュア写真家 石田榮さんは、20代半ばで海外引揚者から譲り受けたドイツ製カメラ、セミイコンタに出会います。その後、勤務先の会社では写真担当として、そしてごく普通の父親として家族の写真を撮り始めました。

 高知県で生活していた石田さんは、日曜日にカメラを抱え、休日でも身体を張って働く人々の元へ通うようになります。その頃に撮りためた写真がニッコールクラブキャッスル大阪支部長 宮崎豊氏に見いだされ、今年7月に初の写真集「はたらくことは生きること—昭和30年前後の高知」として羽鳥書店から刊行されました。

 かつて高知県の地場産業であった石灰の鉱山は、石が彫り尽くされ、現在では大きな池になっていると石田さんは語ります。お土産物として売られていた美しい五色の石が採れた浜も縮小されて、今はテトラポットが並ぶ、当時とは全く違う風景になっています。

 その様変わりした風景には、私たち日本人の変わり様を、そのまま重ねる事ができるのではないでしょうか。作品の中に表されている日本人が本来持っている謙虚さと慎み深さ、ユーモアさえ感じる可愛げのある人間の姿。戦後の日本人が何とか自分たちの生活を取り戻し、新しく作り上げようともがいていたその時代が、現代の私たちに何を語りかけてくれるか。今年90歳になった石田榮さんの写真が、私たちにとって大切な答えをくれるはずです。

 この展覧会では、60年の時を経たモノクロネガフィルムから焼かれた30数点の銀塩プリントを展示。

 戦後間もないなつかしい写真、などとひと言では言い切れない、瑞々しさを感じる美しい銀塩プリントの写真展示をどうぞご覧下さい。

羽鳥書店webサイトより

戦後まもない高知の鉱山、漁村、農山村で
働く人びとのかがやく姿を、鮮やかにとらえた
アマチュア写真家の、深い共感のまなざし

働くことは
生きること、
いっしょうけんめい
生きること。

 

石田榮は、特攻隊を送り出す整備兵をへて、敗戦後、海外引揚者から譲り受けたカメラで写真と出会った。働いて日々を生き抜くなかで、休みの日、カメラ片手に日曜日でも体を張って働く一次産業の人びとへ会いに通った。

昭和30年前後の5年ほどの間に撮られた写真は、ネガのまま半世紀を超え、人々の笑顔を甦らせる。

石田榮写真集「はたらくことは 生きること—昭和30年前後の高知」

B5判 並製 200頁
本体価格 3,600円+税

2016年7月刊行
監修 堀瑞穂
題字 華雪
アートディレクション・デザイン 長尾敦子

羽鳥書店 http://www.hatorishoten.co.jp/

写真集刊行に寄せて

この写真集は、1955(昭和30年)前後の高知県で働く人々を記録したものです。

私は、戦時中高知海軍航空隊に所属し、1945(昭和20年)5月には高知海軍航空隊白菊特別攻撃隊に飛行機整備兵として配属され、鹿屋海軍航空隊から特攻機を送り出しました。飛行機が機上作業練習機(偵察員養成)でしたから、行きの燃料はあっても、帰る燃料はなく、退路を断たれた状態で、若者たちが飛び立ちました。この写真集は、「後は頼むぞ」と言って、飛び立った彼らに対する報告書でもあります。

戦後10年、「もはや戦後ではない」と言われていましたが、生活の実態は厳しいく、特に、戦争で親や夫を奪われた方々のご苦労は計り知れないものがありました。

これから社会を背負っていく方々にこの写真集を見ていただき、なんらかを感じていただければ、作者としてこれに優る喜びはありません。 

 

平成28年盛夏 

石田 榮

石田 榮 プロフィール

1926(大正15)香川県綾歌郡に生まれる
1940(昭和15)14歳 株式会社東洋工作所(大阪)において機械見習工
1943(昭和18)17歳 香川県綾歌郡岡田村立青年学校本科繰上卒業、佐世保海兵団に入団、海軍航空整備兵
1944(昭和19)18歳 海軍普通科飛行機整備術練習生終了(102期)、高知海軍航空隊に所属 以降、出水海軍航空隊、河和海軍航空隊、高知海軍航空隊
1945(昭和20)19歳 鹿屋海軍航空隊で特攻機を整備し、特攻隊を送り出す
8月15日 終戦
1947(昭和22)21歳 協和農機株式会社(高知)勤務
1950(昭和25)24歳 旧満州の引揚者から「徳国製」の蛇腹式セミイコンタを入手
1951(昭和26)25歳 結婚
1954(昭和29)28歳 高知の「ソニアフォト」入会
1963(昭和38)37歳 慶應義塾大学経済学部通信制課程入学
1974(昭和49)48歳 大阪商工会議所経営指導員
1986(昭和61)60歳 石田実践経営事務所開設、経営コンサルタント
2012(平成24)86歳 7月 ニコンサロンbis大阪で個展
2014(平成26)88歳 4・7月 ニコンサロンbis大阪と新宿で第2・3回目の個展

書評

東京新聞 2016年9月4日 「アートな本」
北海道新聞 2016年9月25日
朝日新聞 朝刊 2016年9月18日
しんぶん 赤旗 2016年10月2日
高知新聞社発行 フリーペーパー K+
日本カメラ 10月号(9月20日発売号) 新刊案内

応援サイト

https://ikirukoto.tumblr.com/

推薦コメント掲載者一覧(2016年10月5日現在。敬称略・順不同)

紅露拓(湘南写真倶楽部)
フランク・リチャード・チェイス
岡本明才(沢田マンションギャラリー ルーム38)
吉岡さとる(写真家)
菊田樹子(インディペンデントキュレーター)
高橋宗正(写真家)
野元大意(コウベ819ギャラリー)
小林美香(写真研究家)
新井卓(写真家)
大日方公男(東京新聞・文化部)
辻山良雄(Title)
五坪侑恵(ジュンク堂書店)
田川怜奈(恵文社一乗寺店)
Nahoko Yamaguchi
横山起也(NPO法人LIFE KNIT)
若井浩子(Books and Modern)
尼崎 マツタケ食堂 松井
橋本佳子(映画プロデューサー )
松谷友美(写真家)
山下豊(写真家)
木村 準(gallery 176)
平林達也(フォトグラファーズ・ラボラトリー)
平間至(写真家)
松田拓巳(North Lake Cafe & Books)
酒居郁二(bistro192)
ヨシダキミコ(ギャラリー 棚元)
中藤毅彦(写真家)
島田潤一郎(夏葉社代表)
小林紀晴(写真家)
タカザワケンジ(写真評論家、ライター)
華雪(書家)
師岡清高(大阪芸術大学 写真学科 教授)
綾 智佳(The Third Gallery Aya)
名久井伴久(日本写真協会会員)
奥野政司(京都写真クラブ)
佐野誠司(株式会社 on and on)
大澤友貴(写真研究)
堀 瑞穂(フォトエディター)