© Keijiro Kai

展覧会概要

TOTEM POLE PHOTO GALLERY × gallery 176交流展

タイトル:「Charanga」

作家名:甲斐 啓二郎

会場

gallery 176(ギャラリー イナロク)

大阪府豊中市服部元町1-6-1/阪急宝塚線 服部天神駅(梅田から11分)下車 徒歩1分

会期

2020年7月31日(金)〜8月11日(火)

休廊日

8月5日(水)、6日(木)

開廊時間

13:00〜19:00

企画

gallery 176 友長勇介

展示概要

 TOTEM POLE PHOTO GALLERY × gallery 176交流展企画第三弾として、TOTEM POLE PHOTO GALLERY運営メンバー甲斐啓二郎さんをお招きして写真展を開催します。来年にはgallery 176運営メンバー友長勇介がTOTEM POLE PHOTO GALLERYで展⽰を予定しています。

 甲斐さんとは、TOTEM POLE PHOTO GALLERYメンバーの広瀬さんのgallery 176での展示の時に、初めてお会いしました。その晩、TOTEM POLE PHOTO GALLERYメンバーの淵上さんも合流し、写真について終電が無くなるまで語り合った日から2年。甲斐さんの写真展を開催する事ができて嬉しく思います。

gallery176 友長勇介

作品説明

 毎年5月3日、聖十字祭の日にボリビアのマチャで行われるTinkuを撮影したものである。Tinkuとはケチュア語で「出会い」を意味し、各集落の男達が力を競い合うケンカ祭りであり、男女の出会いの場でもあった。地元の老人によると、インカ帝国以前にはすでに行われていたとのことだ。

 マチャ周辺の各集落が、ケーナやチャランゴといった民族楽器で音楽を奏で、歌い、踊る。「僕らは醜くなんかない」と歌っていた時、彼らが味わった歴史を考えずにはいられない。そうして、広場を練り歩き、他の集落とぶつかった時、素手での殴り合いが始まる。死者が出ることもあるという程の激しいケンカ祭りである。血が流れるまで殴り合い、その血を母なる大地の神パチャママ(Pachamama)に捧げ、豊作を祈るのである。

 今まで撮影した「格闘の祭事」で、偶発的におこる素手での殴り合いは目にしてきた。素手で顔面を殴るという行為は、祭事のルールとして禁止されていなくても、人の倫理としてそうそう起こるものではなかった。ただ、Tinkuに関しては「殴る」という行為がルールである。また、殴られることによって血を流す事が良しとされる。血を流す事が目的のひとつであるために、血が出やすい顔面を殴るという事をしているのかとさえ思う。

 それは倫理以前の人間の姿を見るようで、今まで撮影してきた「格闘の祭事」の中で、Tinkuは最も恐怖を感じた。

 どの祭事においても、参加する者に何故闘うのか?と問うてもあまり意味がない。「それがそこにあるから」という様な答えが返ってくるだけだ。他の祭事での話になるが、会話の中で興味深い言葉があった。季節感(風向きや日差しなど)や街の喧騒などの情感で、そろそろ祭りが来るなと思うそうである。まるで祭りの方から向かってくる様な言い回しで。

 祭事は、先人たちの霊魂、神そして自然の様々な精霊たちとの対話の場である。「祭事」を「自然」もしくは「神」と置き換えて、「向かってくるもの」と考えると、「格闘の祭事」は「自然の猛威」とみる事も出来る。「自然の猛威」が差し迫った時、我々人間はその困難に立ち向かい必死に生きようとするだろう。何しろ自分の生死、実存の問題であるのだから。

 先に「倫理以前の人間」と書いたが、この困難や恐怖を乗り越えた時、まさにその瞬間、我々人間は倫理や道徳を手に入れてきたのではないか。もしそうであるならば、「格闘の祭事」は、“人間たらしめる生きるための闘い”である。

 Tinkuの中で歌われていた「僕らは醜くなんかない」という歌は、スペイン占領時代を歌ったものと考えられるが、彼らは流れる血をみて、自己の生を実感したに違いない。

 それが得られる場、その実践的経験の場が、これらの祭事であり、先人達の知であり、自然や神からの恵みなのかも知れない。

展示構成

ピグメントプリント約 15点(予定)

 

会期中の作家在廊予定

作家甲斐さんの在廊予定は未定です。決まり次第こちらでお知らせします。

gallery 176の感染防止対策に関して

*ご来廊の際は、「gallery 176の感染防止対策に関して」をご一読ください。

関連イベント

調整中

 

プロフィール

甲斐 啓二郎(かい けいじろう)

1974年福岡県生まれ。2002年東京綜合写真専門学校を卒業。現在、同校非常勤講師。
スポーツという近代的概念が生まれる以前の世界各地で伝統的に行われている格闘的な祭事を、その只中に身を投じながら撮影し、人間の「生」についての本質的な問いに対して写真で肉薄する作品を発表している。写真展「手負いの熊」「骨の髄」で第28回写真の会賞を受賞。2016年Daegu Photo Biennale(韓国)、2018年Taipei Photo(台湾)、2019年Noorderlicht International Photography Festival(オランダ)などのグループ展に参加。個展多数。写真集に『Shrove Tuesday』(Totem Pole Photo Gallery、2013年)『手負いの熊』(Totem Pole Photo Gallery、2016年)がある。

1974年 福岡県生まれ
1997年 日本大学理工学部卒業
2002年 東京綜合写真専門学校卒業
2016年 塩竈フォトフェスティバル写真賞 特別賞 受賞
2016年 第28回 写真の会賞 受賞
現在、東京綜合写真専門学校非常勤講師

主な個展

2012年「Shrove Tuesday」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2013年「Shrove Tuesday」新宿&大阪ニコンサロン・TOTEM POLE PHOTO GALLERY ・東京
2014年「手負いの熊 / Wounded Bears」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2014年「Shrove Tuesday」東京綜合写真専門学校 SPACE 56・神奈川
2015年「手負いの熊 / Wounded Bears」 TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2015年「Shrove Tuesday」UTRECHT・東京
2015年「骨の髄 / Down to the Bone」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2016年「骨の髄 / Down to the Bone」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2016年「手負いの熊 / Wounded Bears」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2016年「手負いの熊」おぼろ月夜の館 斑山文庫・長野県野沢温泉村
2017年「祭事にみる人間の”生”」おぼろ月夜の館 斑山文庫・長野県野沢温泉村
2017年「Opens and Stands Up」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京
2019年「Charanga」TOTEM POLE PHOTO GALLERY・東京

グループ展

2016年「Daegu Photo Biennale 2016」Daegu Culture & Arts Center・大邱 / 韓国
2018年「いとなみと影法師」新潟絵屋・新潟
2018年「Taipei Photo 2018」中正紀念堂・台北 / 台湾
2019年「26th Noorderlicht International Photography Festival 2019」Noorderlicht Photo Gallery・フローニンゲン / オランダ

出版

2013年『Shrove Tuesday』発行:TOTEM POLE PHOTO GALLERY
2016年『手負いの熊 / Wounded Bears』発行:TOTEM POLE PHOTO GALLERY
2020年『骨の髄 / Down to the Bone』発行:新宿書房

webサイト

http://keijirokai.com

 

TOTEM POLE PHOTO GALLERY

TOTEM POLE PHOTO GALLERYは2008年に開設したギャラリーです。
現在の運営メンバーは有元伸也、宛超凡、甲斐啓二郎、姜美善、坂本陽、ジョン・サイパル、新名安奈、ダン・エプソープ、 田凱、広瀬耕平、淵上裕太、水島貴大の12名(2019年10月現在)。
メンバーによる定期的な展示を中心に、さまざまな企画展やイベント、ギャラリーレンタルなどを行っています。

http://tppg.jp