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展覧会概要

1839當代藝廊(台湾)×gallery 176(日本)交流展 in 大阪

タイトル:「TWO KINGS」

作家名:黃 鵬魁 / Pengkuei Ben Huang

会場

gallery 176(ギャラリー イナロク)

大阪府豊中市服部元町1-6-1/阪急宝塚線 服部天神駅(梅田から11分)下車 徒歩1分

会期

2024年9月6日(金)〜9月17日(火)

休廊日

9月11日(水)、12日(木)

開廊時間

13:00〜19:00

*9月7日(土)は有料イベント開催のため、17:00までの開廊となります

企画

gallery 176、1839當代藝廊

キュレーション

邱奕堅(1839當代藝廊)

展示概要

1839當代藝廊(台湾)× gallery 176 交流展として、gallery 176にて、カナダ・トロント在住の台湾系カナダ人の作家黃鵬魁(コウ・ホウカイ)さんの写真展「TWO KINGS」を開催します。

コロナ禍前の2019年8月〜9月に、gallery 176で台湾作家による最初の交流展を開催し、2023年6月に2回目の交流展 黄弘川写真展「客家ソナタ」を開催しました。2023年5月〜6月には、台湾・台北の1839當代藝廊にて、gallery 176の作家の写真展を開催しています。今回は、gallery 176での3回目の交流展となります。

9月7日(土)には、作家 黃鵬魁さんと、本展キュレーターの邱奕堅さん(1839當代藝廊オーナー)をお迎えして、トークイベントを開催します。お時間ありましたら、ぜひお立ち寄りください。

作品解説

この作品「TWO KINGS」は、1996年にトロント市が開始した「TWO KINGS プロジェクト」によって、廃墟と化した工業地帯が複合施設に生まれ変わる過程を追っている。このプロジェクトは、トロントのダウンタウン地区の様相を一変させた。かつての工場は、大規模な駐車場と近代的なビルに取って代わられ、街に新たな活力を注入するとともに、「ジェントリフィケーション(都市の居住地域を再開発して高級化すること)」についての議論を引き起こすきっかけとなった。

このような背景のもと、黃鵬魁は「TWO KINGS プロジェクト」の実施エリアを撮影対象とし、トロントの街の変貌、近代化と過去の融合における葛藤を探り、都市の成長と過去の遺産の関係を写真に反映させた。

≫ 1839當代藝廊での展覧会紹介ページ(英文)
≫ 1839當代藝廊での展覧会紹介ページ(中文)

作品説明/ステートメント

キングス再生計画、通称「TWO KINGS」は、ダウンタウン南部にある400エーカーの土地を再開発するために、1996年にトロント市が立ち上げた計画である。この地域は、時代遅れで硬直したゾーニング条例を再構築することにより、放棄された工場跡地から繁栄する複合施設への再生を目指している。

この計画以来、トロント南部のダウンタウンは劇的な変貌を遂げた。かつての空き工場や大規模な駐車場は姿を消し、近未来的なコンドミニアムがスカイラインを埋め尽くし、新たなランドマークとなった。活性化したコミュニティは、必要とされる都市の活力を生み出してはいるが、ジェントリフィケーション(都市の居住地域を再開発して高級化すること)の影響についての議論を巻き起こしている。しかし、「TWO KINGS」の経済的成功は、ダウンタウンの中心部以外の地域も再開発しようというトロントの野心を刺激した。新たなタワーが出現し、旧来の退廃的な雰囲気に取って代わると同時に、再開発の影響を受けたコミュニティに変化をもたらした。

そのような状況の中で、写真家 黃鵬魁は、「TWO KINGS」計画が実施された地域に焦点を当て始めた。それは、住民が不本意ながらも慣れつつある、変貌する都市の姿を垣間見せてくれる。現代と過去の衝突、あるいは融合を表現したこれらの写真は、繁栄する大都市を求める街の願望を象徴している。しかし、これらの写真は、都市再生と、現代の都市に影響を及ぼしている現在の新自由主義的風潮との間の、複雑な関係を視覚的に反映したものとみなすこともできるだろう。

展示構成

24×20インチ アーカイバルピグメントプリント 19点

 

会期中の作家在廊予定

作家黃さんは、9月6日(金)〜10日(火)、13日(金)、14日(土)に在廊予定です。在廊予定に変更がありましたら、こちらのページ、facebook、X(旧twitter)、Instagram等でお知らせします。

9月7日(土)の開廊時間について

9月7日(土)は、17:30から有料イベント(トークイベント)を開催するため、17:00に一旦ギャラリーを閉めて準備を行います。展示をご覧いただけるのは、17:00までとなります。ご注意ください。

トークイベントのメモ

再開発による背景

トロントの南ダウンタウンでは、1970年まで、工業団地によって市や地域の経済が支られてきましたが、70年代以降、工場が徐々に海外へ移転し、団地も廃墟となっていきました。そのあと、数十年をかけて工場が次々と解体され、1980年代から空地や大型駐車場になっていった。1990年以降、人口増加の予想とともに、複合施設を共なう住宅地、いわゆる都市再開発計画を打ち出しました。その際に、市と州が連携し、当時の建築法を改正し、過去の工業地を住宅地への変更、あるいは再開発の手続きが簡易化された。

その計画によって、現在トロントの南ダウンタウンは市で最も賑わう場所となった。また、計画成功に伴い、周りの地域も同じ流れを複製し、様々な再開発を行った。

しかし、成功の反面で新たな課題も生じた。法律の改正と町の再開発計画により、住みやすい環境を整えたが、法自体に、歴史ある古い建物の保存やメンテナンスの規制を盛り込まなかったため、開発者たちはコストなどを理由に、歴史的な建物を解体、あるいは一部のデザインを飾りとして残すのみとなってしまった。なお、開発地に指定された区域の住民の不安を招いたり、開発者や政府への不信感が強まってしまったでしょう。

シリーズ構成のきっかけ、表現

カナダのトロントは、コロナ禍の影響で、2020年から2年の間に都市封鎖が4回あり、市全体は停滞した。その状況の中で、州はマンションの建設は規制外と発表した。当時、国内外で活動ができなかった自分は、「なぜマンションの建設は続けられるのか?」と興味をもち、建設工事現場を巡った。その後、市の再開発の歴史を調査し、それを記録することに決めました。

写真の表現は、全体的に鮮やかな色を示し、対比も明るく見える。なぜこういう風に写るか?おそらく、北の国の強烈な日差しに影響されているのかもしれない。写真のコンテンツは壊された、あるいは一部を残す古い建物と新しいマンションを一枚に写し、その対比を表現しました。

近年、国の移民政策の影響で、トロントの人口も急成長した。しかし、居住地の建設ペースが人口の急激な成長率に追いつかず、議論になってきた。街づくりによる変化が、地元の人々の不安を招いたり、住居の供給不足で価格が高騰したりで苦しむ若者も増えてきた。作品にある建設中の綺麗なマンションを、若者や一般の人は手に入れられない事実も伝わればと思います。

この写真展では、来訪者にどのような街づくりが理想的な形か?考えるきっかけになってほしいと思う。

黃 鵬魁 / Pengkuei Ben Huang

関連イベント

トークイベント 黃鵬魁 × 邱奕堅(本展キュレーター)

*YouTubeでトークイベントの映像をご覧いただけます→ https://youtu.be/s5UTyomKb10

開催日時

2024年9月7日(土) 17:30〜19:00(17:20〜 受付開始)

*トークイベント終了後、オープニングパーティー開催予定

出席者

黃鵬魁(展示作家)、邱奕堅(本展キュレーター)

参加費

1,000円(税込)

定員

25名(要予約)

申し込み方法

PassMarketのページからお申し込みください。お支払い方法は、PayPay残高、Yahoo!ウォレット(クレジットカード)、コンビニ決済(手数料106円、3日以内にお支払いください)からお選びいただけます。

≫ お申し込みページ(PassMarket)

*現金でのご参加希望の方は、info@null176.photos までメールでご連絡お願いします。また、席に余裕がありますので、申し込み無しでもご参加いただけます(ただし、申し込みの方優先での入場となります)。

プロフィール

黃 鵬魁(コウ・ホウカイ/Pengkuei Ben Huang)

トロント在住の台湾系カナダ人写真家。両親とともに数カ国を転々とした後、2005年にカナダに移住。米国留学中に写真に興味を持ち、サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学で美術学士号を取得。2007年、マグナム・ワークショップ・トロントで、著名な写真家ラリー・タウエルの指導の下、スコシアバンク賞の最終選考に残った。彼の作品はカナダ国内のみならず、国際的にも高く評価されている。写真を通して、急速に進化する自然と人間との関係に焦点を当てている。

Instagram

@benhuang.photography

webサイト

https://www.benhuangphotos.com/

 

1839當代藝廊/1839 Contemporary Gallery(台湾台北市)

1839當代藝廊は、2009年4月に台湾の台北市で開設されたギャラリーで、現在、台湾で唯一の写真メディアを専門に扱うギャラリーです。

「1839當代」は、「写真が発明された1839年(ダゲレオタイプ/銀板写真の発明)から現在まで(from photography invention in 1839 to now)」を意味しています。

1839當代藝廊は、多くの人々が写真に興味を持ち、写真作品に対する理解と評価を深めることを目的とし、台湾を拠点に、国内外の作家の写真作品を国内及び海外に紹介、展示しています。

≫ 1839當代藝廊 webサイト

邱奕堅 Dr. Edward Chiu(1839當代藝廊オーナー)

2011年〜TAIWAN PHOTO実行委員会会長
2009年〜1839當代藝廊オーナー
2011年東京藝術大学大学院美術研究科(先端芸術表現専攻)博士後期課程修了
1994年アカデミー・オブ・アート大学大学院美術研究科(写真表現専攻)修士課程修了(サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ)
1991年日本大学芸術学部写真学科卒業