友長勇介写真展「写真素志」
展覧会概要
タイトル:「写真素志」
作家名:友長 勇介
会期
2017年6月30日(金)〜7月11日(火)
休廊日
7月5日(水)、6日(木)
開廊時間
平日 13:00〜19:00、土曜 11:00〜19:00、日曜 11:00〜17:00
作品説明
日本各地で撮影したモノクロ写真約20枚を展示予定
作品解説
このギャラリー176が生まれ変わって約10ヵ月が経過し、様々な企画で人々が集まってきた。良い水の流れが、泉から湧き出すように…。友長勇介はじめ、ギャラリーの同人メンバー達の動きも堂に入ってきた。さて、ここらでオーナー役の友長は自己の写真歴の原点から続く素志をみずからに再注入すべく、その意を強く掲げて「写真素志」と題した展示を開催する。同年代の写真家達の活躍から刺激も受け、創り上げた表現の場を磨き上げるためにも、漆黒の闇から降り注ぐ光までを、印画紙に閉じ込めたプリントの世界を披歴するのだ。暗室で浮かび上がる小宇宙を見続けてきた眼、その視座はゆるぎない。
今回の展示、選び出された作品を観て、いきものたちのとどまった呼気のような、不思議な雰囲気を感じる。印画のなかに固定された、ヒトも鳥も獣も風景すら、独特の柔らかなフォルムのなかで、滲み出るような生死をしずかに発散させている。時刻、時間や、写真世界が免れ得ない時代性までも、もしかすると稀薄な真空のかなたへ、飛ばしてしまう空間が現出するかもしれない。いうまでもなく、銀塩写真の緻密な粒子が、絶妙の諧調を生み出す。実は、この技法にこそ20世紀のトータルな美が、凝縮しつつあるような気がする。手のかかる、時間を要するゆえに、獲得される美には確固たる主張がある。その存在には、やはり他に代えがたい重厚な魅力が内在されている。
写真のおおよそ200年の歴史は、21世紀に入って大きく変化しつつある。あいかわらず社会に溢れ出る写真の星々は、ブラックホールに吸い込まれていく。だが、ここに表現の場を求めた写真作家たちは自分たちの全存在をかけて写真を創りつづける。個々人の独創をのせた写真表現がたどりつく地平を、われわれ鑑賞者も視座を磨いて観つづける努力を怠らないように…。そして、ギャラリーから気に入ったプリントを自分の手元に引き寄せて、日々眺め入る至福を多くの人々に味わっていただきたい。
石井仁志(写真評論・メディアプロデューサー)
会期中の作家在廊予定
作家友長は、会期中ほぼ全日在廊の予定です。在廊予定に変更がある場合は、Facebook、Twitterでお知らせします。